世界の長編小説に挑む!

高慢と偏見(上・下)

ジェーン・オースティン 著(富田彬 訳)
岩波文庫

 ある平凡な家庭の女子が、金持ちでハンサムなハイスペック男子と出会うのだが、この男、少し性格に問題があって、無愛想で威張っていて、人を見下している。その無愛想くんから、突然告白されるのだが、人を見下すような人とは付き合えません、と突っぱねる。でも、だんだんと、無愛想くんが実は本当に良い人であることがわかってくる。そして、紆余曲折を経て、最終的にふたりが結ばれる。

  こんな、ロマンティックコメディの典型のようなものが、『高慢と偏見』の筋書きです。イギリス小説を、あるいは世界の文学を代表する作品とされていますが、エリザベスとダーシーの恋愛は、現代の読者にも心から楽しめるもので、今でもこの作品は恋愛小説の代表格に挙げられます。二百年以上前に書かれた作品なのに、あまり古さを感じさせません。一見、単純な筋で、それほど大きな事件があるわけでもないのに、なぜか波乱万丈の物語を読んだような気にさせてくれます。作中人物も面白く描かれていて、また、軽妙な会話も魅力的です。一度は読んでおきたい小説です。

(甲斐清高)