出版会について
編集部便り
2024年 年の瀬を迎えて
気がつけば、前回の更新からすでに9か月の月日が流れていました。「時の経つのは早いもの」、フランス語でLe temps passe viteと言われますが、この時期フランス人と顔を合わせるたび、この言葉が交わされます。
今年の活動を振り返ってみれば、本の刊行はもとより、これまで以上に学外でのイベントに注力してきた一年だったように思います。数々の場面でご協力くださった皆さま、この場を借りてお礼を申し上げます。
まず、3月15日に、Local Knowledgeにて、根無一信先生が『常識を疑え、例外者になれーネム船長の哲学航海に乗船してみよう!』と題したイベントを行いました。Local Knowledgeとは「新しい教養を再発見すること」を目的に立ち上げられた、オンライン・イベントサイトです。根無先生はご自身の大学入学前に日本一周を敢行した強者。ふつうは卒業するほどのご年齢になってから哲学の道に入られたのです。例外者になることをおそれるな、というお言葉には確固たる説得力が感じられます。
ところで、Local Knowledgeを運営する竹田茂さんの企画力にはつねに瞠目するのですが、今後も小会のイベントを継続いただく予定です。なお、大学出版部協会からは、京都大学学術出版会が参加しています。
続いて、3月16日には名鉄百貨店Tsutaya BookStoreにて、今泉恵子先生が、『ホスピタリティを磨く20のレッスン』の刊行記念イベントに登場、エアラインならではのエピソードを交えつつ、人とのつながりについてお話しくださり、会場を魅了しました。
そして、4月20日は、食文化のプロ、佐原秋生(さわらしゅうせい)先生と僭越ながら私、大岩による『世界を巡る食の旅』トークイベントが、同Tsutaya BookStoreにて開催されました。2025年4月には、この二人による新刊が刊行されますので、ご期待いただけましたら幸いです。
9月29日には、同じくTSUTAYA BookStoreに、この地域の版元4社が集結、「地元愛」というテーマで座談会を開催いたしました。背景も性質も歴史も異にする出版社たちですが、この地域の皆さまに心を込めて書籍をお届けしたいという願いを共通項として、連帯する必然性を感じずにはいられませんでした。また、ある版元さまが言われた「書店に寄り添った出版社でありたい」という言葉の重み。実は最近、古い知り合いから「本屋ではありませんが本に関わる人を応援しています」と書かれた名刺をもらいました。こうした地道な活動で支えあっていくつながりの大切さを改めてかみしめているところです。
そして、11月30日、新刊『ザ・ワールド・ウイズ・アス 世界はわたしたちとともに』の刊行記念イベントが同TSUTAYA BookStoreにて開催されました。執筆者は40名以上にのぼる本学の関係者ですが、この日の登壇者は亀山郁夫先生、木内充先生、福島みのり先生の3名、そして、司会を大岩が担当いたしました、先生方は選ばれた格言の文化的背景、また、専門分野や現在の関心事などに触れ、終始なごやかで温かいイベントとなりました。本は2部構成となっていて、前半が20言語の格言、俗諺などを集めたもの、後半が主に先生方の海外での体験記となっています。このタイトルは、6年前に迎えた本学の30周年記念の際に創り出された大学キャッチコピーなのですが、この書籍のタイトルとして、これ以上ふさわしいフレーズはないと自負しています。読み方によっては、海外旅行ガイドにも哲学書にもなる本書、ぜひ、手に取っていただければ幸いです。
このように24年は8冊の刊行とイベント(上記以外にも2回)に明け暮れた1年でしたが、25年度は、公共図書館などともタイアップし、講座や読書会などを通して、さらに読者層を広げていきたいと考えています。また、リアル書店の存続に向けて、微力ながら活動を続けていきたいと思いますので、引き続き、ご支援くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
最後に亀山先生による『ザ・ワールド・ウイズ・アス 世界はわたしたちとともに』の「あとがき」から次の一節を引いて、年末のご挨拶といたします。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
「世界は、地球は、私たちの存在なしでも存続できる、だからなるようになれ、そんな冷たい悲観主義はどうか今すぐ捨ててほしい。なぜなら世界は、一人ひとりが健やかに生きることができてはじめてその美しいハート型(本書のカバー)を維持できるのだから。そしてその美しい♡型の永遠の幸せを願いつつ、今ここに世界の英知が生んだ数々の金言をお届けする」
2024年12月28日
名古屋外国語大学出版会 大岩昌子
2024年度に向けて
年明けからあっという間に3月も半ばとなり、すでに季節は桜を迎えようとしています。この年度末刊行を目指して、出版会は2つの書籍を準備してまいりました。まずは、今泉景子先生の『ホスピタリティを磨く20のレッスン』です。航空関連会社の元グランドスタッフとしての経験を活かし、人と対面する際の大切な点を詳らかにしてくれています。心の持ちようはその人の態度に現れるといいますが、その逆も真かもしれません。今はとかく、人の目を気にするなという風潮が感じられる言説が多く見受けられますが、そこに警鐘をならす内容といえます。
2冊目は「名古屋外大がキミに薦める 世界の長編小説40」です。常日頃から、出版会は、本と読者を結ぶ、いわゆる「文化メディアシオン」の役割を果たすべきだと考えています。この書籍を通して、若い皆さんとともに、読書会なども計画しております。この機会に、学生、あるいは一般の皆さんに、長編小説に興味を持って、視野を広げていただければ幸いです。
2024年度は、8冊の刊行を目指しています。追々、一冊ずつご紹介していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
2024年3月12日
名古屋外国語大学出版会 大岩昌子
2023年 年の瀬を迎えて
毎年、10月から大学図書館と共催する「読書コメント大賞」。今年も、10名の受賞者の表彰式を終えると、すでに年の瀬を迎えていました。
敬愛する詩人の長田弘さんは、『読書からはじまる』(筑摩書房)の中で、<「ほんの文化」というものをささえてきたのは、ここにいないひとに手わたすことができるようにするということです。>と書いています。「読書コメント大賞」は<読んで、書いて、つながろう>を合言葉に、これまで多数の学生が参加し、その率直で、瑞々しいコメントによって、ゆるく、長くつながってきました。受賞した作品で取り上げられた本は、学生たちをさらに次の読書体験へといざなってくれるようです。
今年は「世界の長編小説に挑む!」という新たな企画を図書館と共に立ち上げました。ここでは、年齢も専門も異なる本学の関係者23名が、世界の長編小説40篇を選定し、独自の視点から小説を紹介しています。140字小説が流行る今、いわゆる古典となったこうした長編小説が遠い存在と化すのも自然な流れでしょう。それでも若い皆さんに、人生が揺るがされるような長編小説に出会って、その底知れない魅力に気がついてほしい!そんな思いで、この企画は立ち上げられました。
先の長田さんは、前掲書の中でこうも指摘しています。<図書館が、一人一人にとっては、すべて読むことなど初めから不可能な条件のうえになりたってつくられるように、「本の文化」を深くしてきたものは、読まない本をどれだけもっているかということです。>まさにこうした視点を大切にしながら、今後も皆さんとともに、読書と本の森を彷徨い続けたいと思います。
2024年もどうぞよろしくお願いいたします。
2023年12月22日
名古屋外国語大学出版会 大岩昌子
8年間の夢と挑戦 出版会の軌跡を振り返って
「愛知=フィロソフィア」の故郷、名古屋の大学出版に招かれて、8年が経ちました。設立当初からの、あっという間の長い長い歳月でした。素早くゆったりとした、じつに愉しい時間でもありました。お世話になった方々に、まずこの場を借りて、心から御礼申し上げます。
『世界が終わる夢を見る(亀山先生)』『サミットがわかれば世界が読める(高瀬先生)』の編集で最初のスタートを切りましたが、私は長いあいだ商業出版社におりましたので、大学出版・専門性の高い学術系の書籍を作ることができるのだろうかと、まず考え込んだものです。執筆者の先生方は、ご自身の研究テーマを、真正面から全力を込めてぶつけていらっしゃいます。その内容を適切に読み取り、しかもわかりやすい形で読者に伝える。私をお招きいただいた理由は、そこにあるのだと思っていました。
たとえば『アボリジニであること』という企画が寄せられたとき、私はオーストラリアの原住民や言語の実態を何も知らず、研究書や著者の浜島先生の論文などを手掛かりに模索せざるを得ませんでした。何度も先生にお尋ねし、必要な図版や地図なども配置、びっくりするような写真も掲載することができました。結果として、当出版会の企画ものとしては異例のロングセラーが誕生することになったのです。
『まちづくり心理学』も同様です。共生やボランティア系に興味はあったにせよ、地域行政、社会心理学、都市デザインなどについてはほとんど知りません。この本は城月先生の編著で、他の大学の先生方も加わっています。4人の著者全員との最初の打ち合わせが、マトリックス図などを黒板に縦横に書き巡らせた、本当に勉強になる刷り合わせだったことも印象的です。何度も推敲や校正を重ねての仕上がりがすばらしく、おかげさまで「日本地域学会著作賞」をいただくことができました。
出版会の使命の一つは、当大学の先生方の、横断的な連携を醸成することにもあるのではないかと考えていました。ともすれば研究者として孤立しがちなお立場で、しかしお互いの学問領域を知らずにすませるのは、あまりにもったいない。この大学には、さまざまな分野の、ユニークな優れた研究者がいらっしゃるのです。『世界教養72のレシピ』や『悪魔にもらった眼鏡』『囚われて』などのアンソロジー出版が増えたのも、こうした理由からです。外国文学翻訳書の刊行は、まさしくこの大学の得意中の得意でした。その世界で名だたる先生方や、熱意あふれる若手の研究者たちが、数えきれないほどいらっしゃるからです。こうした横断的な書籍編集のアンソロジー体験が、やがて「異次元の」展開を示すようになっていきます。
さらにギアが入り始めたのは、『世界は映画でできている』あたりからです。インド映画、ポーランド映画まで広範囲に及んだこの評論集は、映画が現代世界を映し出す鏡であることを如実に示してくれています。この時点で、編著者ならびに大岩編集長を始めとする編集委員の論理と感性は、ひたすら冴えわたっていきました。
やはり他の大学の先生方も多数加わった『牧畜を人文学する』も、意表をつくタイトルと、専門性の高いフィールドワークに基づいた、他にはない画期的な書物です。そしてどうしてもあげておきたいのが、『アフターハイスクール』。この大学、および中京圏の多国籍文化や言語、音楽など、ファッションからグルメまで、ありとあらゆるテーマが、手作りの「味噌おでん」のようにごった煮され集大成され、しかも熱気と希望にみちた華やかで奥深い冊子となりました。わわれれ担当者が東山動植物公園に何度も取材を重ねたことも、いい経験でした。当大学の宣伝にも役立ったのではないかと、ひそかに自負しています。なおこの本は、ある先生の「高校生の本をつくりませんか」というつぶやきから生まれたことを明記しておかなければなりません。
『食と文化の世界地図』『言語の構造』『通訳ガイドブック』『現代ヨルダンレポート』など、思い出に残る本はまだいくつもあります。最新傑作のひとつ『ネム船長の哲学航海記 ソクラテスからの質問』もそうで、著者の根無先生とのやりとりと励ましあい、活発な音楽談議など、当会の本づくりの歴史に深く刻まれる記念碑になっています。
8年間、私がここまでやってこられたのは、繰り返しますが、著者の方々の熱く地道なご努力、編集委員の先生方と編集長の敏腕によるものだと感謝しています。また印刷所の営業、組み版制作などの方々の熱意にも感謝感激です。
おしまいに、私の最後の担当となった、大好きなアンソロジー詩集のタイトルをあげ、サヨナラの言葉とさせていただきます。
『愛、もしくは別れの夜に』......再見!
2023年3月20日
名古屋外国語大学出版会 編集主任 川端博
新刊『愛、もしくは別れの夜に』
小会はこの3月で、設立から8年が経つことになります。ここまで、あらゆる側面からご支援くださった皆さまには感謝の気持ちしかありません。心からお礼を申し上げます。
小さな出版会のわりには、アンソロジーが多く製作されてきたように思います。特に、「世界文学の小宇宙」と銘打ったシリーズ、第1巻『悪魔にもらった眼鏡』(亀山郁夫・野谷文昭編訳)と第2巻『囚われて』(沼野充義・藤井省三編訳)は世界文学の短編集で、10名以上の訳者のみなさんにご協力いただいています。この3月10日に刊行される第3巻の詩集『愛、もしくは別れの夜に』(亀山郁夫・エリス俊子編訳)では、18名もの教員のみなさんが、世界各地で時空を超えて生み出された珠玉の詩を翻訳してくださいました。この場を借りて厚くお礼を申し上げます。製作に関わってくださる方が多いことで、多様性が生まれ、多彩な価値観を共有することができます。こうしたアンソロジーの製作を通して、少しずつ出版会として成長できたように感じています。
詩集のタイトルは大学出版会らしくないものですが、ここに収録されるロシアの詩人、ツヴェターエワやブロツキーの詩の一節から命名されました。画家の水谷誠孝氏とデザイナーの冨安由紀子氏による深遠なカバーが、この詩集の世界観を存分に表現してくれています。ぜひ、約1000年にわたる世界の詩を身近において、さまざまに思いを馳せていただければ幸いです。
2023年3月3日
名古屋外国語大学出版会編集長 大岩昌子
5年間を振り返って
2015年に設立された小会は、この4月に満5年を迎えることができました。私は設立メンバーのひとりとして、学長による「本学の知的リソースを発掘し、発信する」というメッセージのもと、試行錯誤を繰り返しながら、皆さんと前向きに運営を進めてまいりました。この5年間でなんとか30点を超す書籍を刊行できましたのは、関係各所の皆さまからいただいた、多大なお力添えのおかげだと思っております。この場を借りて、厚くお礼を申し上げます。
出版の仕事に携わる
それは本の「読み手」や「書き手」だけでなく、「作り手」「売り手」になることを意味します。この事実は、じわりじわりとではありますが、私自身に変化をもたらしました。まず、本を見る目が変わりました。これまでさほど気にとめなかった装丁やレイアウト、さらには花布の色などにも注目し、無縁だった専門用語にも多少通じるようになってきました。新しいことに触れるのは、なんであっても楽しいものです。ただ、本当に変化したのは、自分の「書き手」としての意識だと感じています。それまでは執筆者として、自分の書きたいことを書きたいように書いてきました。それが出版の仕事を通じ、「この本をいかに読者に届けるか」という視点に立つことができたのです。おかげで、自分自身と読み手とが完全に乖離していたことに気づかされました。これは、出版の仕事に携わったことの副次的効果といえるのでしょうか。
小会のレパートリー
ここで小会の現在のレパートリーを紹介します。まず、4種類のシリーズものがあります。一般読者を想定した「Artes Mundi叢書」、新書版「名古屋外大新書」、ブックレット版「NUFS WORKS」、そして「NUFS英語教育シリーズ」です。なかでも、名古屋外大新書『世界教養72のレシピ』(2018年)とArtes Mundi叢書『悪魔にもらった眼鏡』(2019年)は、学内の執筆者および翻訳者を発掘し、学外へ発信できた書籍だと小会として自負しています。シリーズもの以外では、学内の知的リソースの結晶である「学術図書」、そして、主に言語教育を中心とした「教科書・参考書」があります。また、一年次生に毎年配布する冊子『Piazza』は、学内の先生方からいただくメッセージの集成で、近隣の書店にも置かれています。
出版以外の取り組みとして、図書館と共催する「読書コメント大賞」が創設されました。現在の若者は読書をしないと言われていますが、出版会がこの流れに一石を投じることができれば嬉しく思います。デヴィッド・ユーリンが『それでも読書をやめない理由』(柏書房)に書いた、「注意散漫のネット社会のなかで、読書こそはこの社会に対する最大の抵抗なのである」という精神は、大学生にも向けられる大きなメッセージだと考えております。
6年目を迎え、今後も、学内の執筆者やその研究成果に目配りするとともに、世界教養へとつながる人文・学際・社会学などの分野から、新しいテーマや価値を創造する書籍製作を志し、独自の存在感を持つべく活動してまいります。引き続き、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
2020年4月1日
名古屋外国語大学出版会編集長 大岩 昌子
名古屋外国語大学出版会の設立にあたって
媒体による「出版」が変化の波に揺すぶられている今、新たな大学出版会の船出はかならずしも視界良好とはいえないでしょう。名古屋外国語大学は、全国的にはまだ知名度が高いとはいえませんが、積極的な学園運営によって、教育に関して着実な成果を挙げているだけでなく、多彩な人材を擁して、研究面でも目に見える実績を残しつつあります。
そのような私たちの大学の持つ長所を積極的に発信して社会の発展に貢献できないか、それが今回名古屋外国語大学出版会を設立した大きな理由です。在学中に英語力を大幅に向上させるだけでなく、さらにもう⼀つの言語の習得をめざす試みのためには、新たな教科書・参考書作りが不可欠でしょうし、国際社会で貴重な実戦経験を積まれた先生方の執筆される図書は、世界に目を開く手がかりになるはずです。さらに、新たな「教養」の概念で書かれた啓蒙書、ブックレットなど、私たちは大学の知を結集して、すぐれた出版物を世に出したいと願っています。誕生したばかりの出版会の今後の活動に、どうぞご期待ください。
2015年4月1日
名古屋外国語大学出版会編集長 諫早 勇⼀
NUFS Press号の船出にあたって
University Pressは今や花盛りです。日本の出版界全体の方向性を見渡せば、むろん右下がりの状況にあることは否定すべくもありませんが、大学出版会は着実に成長しつづけているようです。東京大学、名古屋大学の二つの巨人出版会を筆頭に、個々の地方国立大学、私立大学が今や意欲的に出版事業に取り組んでいます。かつて東京大学出版会から出た『知の技法』が、一大ベストセラーとなったことは、今もって大学出版会の歴史における奇跡の一つとして語り継がれています。しかし、初めから大きな成功を期待しているわけではありませんし、大それた野心を抱いているわけでもありません。ただし、それなりに夢はあり、その夢の実現に向かって一歩一歩着実な歩みを続けてほしいと念じています。そしてその夢を語る前に大切なのが、やはりサステナビリティ(持続可能性)という視点です。どこまで着実にこの事業を推進し、持続していけるか。といっても、サステナビリティの視点ばかり考え、目先の売れ行きばかりを考えるようになっては、大学出版会の本来の役目を果たすことはできません。出版会の存在は、大学のもてる知的リソースを世に知らしめるよい機会ですから、時には思い切った冒険を試みていただけると幸いです。
今回、出版会の設立を決断し、"NUFS Next"にそれを書き込んだ背景には、何より名古屋外国語大学の知的なリソースを発掘したいという願いがありました。本学はいまや中部地区を代表する国際系大学として熱い注目を浴びていますが、研究発信力という側面ではまだまだ立ち遅れている観があります。力がない、というではなくて、発信の場がないというのが実感です。本出版会の設立によって、本学が外国語教育のみならず教養教育さらには研究面においても着実に歩み続けている大学であることをアピールしていきたいと念じております。編集長に就任された付属図書館長の諫早勇一先生のリーダーシップのもと、本出版会が大いなる可能性の海に向けて無事、船出できること心から願ってやみません。
2015年4月1日
名古屋外国語大学長 亀山 郁夫