書籍情報

世界文学の小宇宙3詩集  愛、もしくは別れの夜に 

亀山郁夫・エリス俊子 編訳
仕様
四六判 268ページ 上製
定価
2,600円(税別)
ISBN
978-4-908523-40-3
商品コード
C1097
発行年月
2023年3月
内容紹介
世界が集めた詩集
さまざまな言語で紡がれる〈とどくコトバ〉が、1冊になりました。
英語圏(フロスト、ブロンテ、イェイツ、ジョンソン)/フランス(シェニエ)/スペイン語圏(ロルカ、ミストラル、ネルーダ)/ドイツ(ハイネ、シュヴィッタース)/中国(紅楼夢、魯迅)/ロシア(マヤコフスキー、ブロツキー)/ブラジル(アルヴェス)/イディッシュ語(アン・スキ)/ラテン語(アルキポエタ)/イタリア(聖フランチェスコ)/アラビア語圏(マジュヌーン・ライラー)、ポーランド(シンボルスカ)……そして日本(式子内親王、萩原朔太郎)などなど。あなたとの出会いを待っていた詩が、かならずここにあります。

混沌の現在に贈る新訳
翻訳……亀山郁夫/松山洋平/野谷文昭/室淳子/藤井省三/吉本美佳/梅垣昌子/西村木綿/鈴木茂/大岩昌子/齋藤絢/児玉茂昭/甲斐清高/石田聖子/船越達志/白井史人/沼野充義 


情報の戦場にゆだねる不幸な時代……。真に耳を傾けるべき言葉は、詩しかない。亀山郁夫
ことばが詩になるとき、叙述の領域を超え、意味に還元されない世界を開示する。エリス俊子


[目次]
序詞 エリス俊子 


◆Ⅰ
アラビア語圏─────────松山洋平・訳/解説  
マジュヌーン・ライラー…視線/ライラーの名によって/心よ/ライラーの墓よ/ ジャミール・ブサイナ…出会いのとき/恋わずらい/北の風/別れの詩/ カイス・ルブナー…鳥の羽を借りて/侮辱/色々な種類の愛/ルブナーは死んだ イブン・ザイドゥーン…私の命を求めて下さい/使い終わったミスワーク/安らぎであり、苦しみである人/清水/あなたは全ての人 「アラビア語の愛の詩」

スペイン語圏─────────野谷文昭・訳/解説   
ロルカ…馬上の男の歌/角にかけられた死 ネルーダ…『二十の愛の詩と一つの絶望の歌』より/幸せな日へのオード/年齢へのオード ミストラル…死のソネット 「スペイン語圏の三詩人」

カナダ─────────室淳子・訳/解説  
ムーディー…カナダの猟師のうた スコット…教会に向かう道 ジョンソン…湿原 「開拓者、先住民、自然」

中国(現代)─────────藤井省三・訳/解説  
魯迅…題字/影の告別/希望 「魯迅と散文詩三題について」

アイルランド─────────吉本美佳・訳/解説  
イェイツ…さらわれ子 グレゴリー…乙女の嘆き 「ケルトの妖精と神秘」

◆Ⅱ
アメリカ─────────梅垣昌子・訳/解説  
フロスト…雪の夜に森で佇み/意図/月光のコンパス/遠くもなく深くもなく「ロバート・フロスト——平明な詩の形而上学」

イディッシュ語─────────西村木綿・訳/解説 
アン=スキ…涙の海/誓い 「イディッシュ語の革命歌」

ブラジル─────────鈴木 茂・訳/解説  
アルヴェス…奴隷船(海の悲劇) 「〈奴隷船の詩人〉カロスト・アルヴェス」

フランス─────────大岩昌子・訳/解説  
シェニエ…シャルロット・コルデーに捧げる 「剣を取る聖女」

朝鮮・韓国─────────齋藤 絢・訳/解説  
尹東柱…-星を数える夜 金素月…つつじの花 李陸史…曠野 「植民地統治の時代に生きた〈ことば〉」

ラテン語─────────児玉茂昭・訳/解説  
アルキポエタ…告解 「中世ラテン語の詩人」

◆Ⅲ
英国─────────甲斐清高・訳/解説  
シェリー…西風に捧げる詩 E・ブロンテ…わたしの魂は臆病な魂じゃない 「英国のロマン派詩人たち」

イタリア─────────石田聖子・訳/解説  
アッシジの聖フランチェスコ…生きとし生けるものの讃歌 「イタリア文学の原点を訪ねて」

中国(古典)─────────船越達志・訳/解説  
曹雪芹…「紅楼夢」から 跛足道人 好了歌/甄士隠 好了歌注/枉凝眉/林黛玉 葬花吟 「紅楼夢の古典詩」

ドイツ─────────白井史人・訳/解説  
ハイネ…うるわしき五月/きみの瞳を見つめると/歌が聞こえてくると/古く悪しき歌 トラークル…囚われたつぐみの歌 フーフ…音楽によせて/碑 シュヴィッタース…詩 「ドイツの詩と音楽」

ポーランド─────────沼野充義・訳/解説  
シンボルスカ…奇跡の市 ザガイェフスキ…褒め称えよ、切り刻まれた世界を 「哲学的抒情詩の旗手たち」

ロシア─────────亀山郁夫・訳/解説  
フレーブニコフ…キリギリス/否み アフマートワ…愛 マヤコフスキー…ぼく ツヴェターエワ…無題/DOUCE FRANCE パステルナーク…息苦しい夜 マンデリシターム…Silentium/まだ死んではいない ブロツキー…愛「銀の時代のロシア詩、そして……」


終詞 ことばが詩になるとき─────────エリス俊子  
あとがき─────────亀山郁夫  
著者プロフィール
亀山 郁夫(カメヤマ イクオ)
名古屋外国語大学 学長。ロシア文学・文化論。著書に『甦るフレーブニコフ』、『磔のロシア—スターリンと芸術家たち』(大佛次郎賞)、『ドストエフスキー 父殺しの文学』『熱狂とユーフォリア』『謎とき『悪霊』』『ショスタコーヴィチ 引き裂かれた栄光』ほか。翻訳では、ドストエフスキーの五大長編(『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』)ほか、プラトーノフ『土台穴』など。なお、2015年には自身初となる小説『新カラマーゾフの兄弟』を刊行した。

エリス 俊子(エリス トシコ)
名古屋外国語大学教授。比較文学、日本近代詩。著書、論文に、『萩原朔太郎―詩的イメージの構成』、「モダニズムの身体」(『モダニズムを俯瞰する』)、"Japanese Literature after the Modern";(The Cambridge Companion to Japanese Culture),"Modern Poetry: 1910s to the postwar period"(Cambridge History of Japanese Literature)、"Poetics of the Sea: Japanese Imaginations of the South Ocean"(Pacific Insularity)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。